史上最強の女子長距離チーム 中国「馬軍団」
馬軍団とは
1993年の「第7回中国全国運動会」、女子の長距離競技では王軍霞の10000mのほかに、1500mでは曲雲霞と王軍霞の2人が世界新記録、3000mでは5人が世界新記録を出しています。
一体何がどうなっているのやら訳がわからない、という話になります。
じつは彼女たちは、馬俊仁という監督のもとでトレーニングを積む選手たちでした。
このチームは、通称「馬軍団」と呼ばれ、90年代の女子長距離で世界を席巻しました。
「馬軍団」について、日本語Wikipediaに非常に詳しい情報が書かれていますので引用します。
馬軍団は遼寧省の優秀な長距離選手を集めた20人規模のトレーニングチームである。練習の走行距離は1日40km以上に及んだ。また青海省や昆明市の標高2000mを超える高地の合宿拠点を活用してトレーニングを積んだ[1]。上半身をリラックスさせるフォームのピッチ走法が指導された。馬コーチは「上半身はダチョウ、下半身はシカをイメージしろ」という表現を多用した[2][6]。鍼灸で選手の疲れが取られ、冬虫夏草、朝鮮人参、スッポンなど漢方薬の知識を取り入れたドリンクが与えられたとされる[1][7]。馬コーチ自らが選手の食事を準備し、選手は日本人選手の2、3倍もの食事量を摂っていた
なるほど。
漢方の力によって練習量と食事量を確保していたようです。
次に馬俊仁監督について
1977年鞍山師範学校卒業後、中学校の教員として奉職。自身に陸上競技の経験は無かったが競技指導を始め、1986年に生徒が遼寧省の大会で優勝を収める。その後1988年遼寧省運動科学技術学院コーチに就任[1]。世界中の指導方法の情報を求めては研究して指導法に生かし、1993年9月の中国全国運動会で曲雲霞、王軍霞らが女子中長距離種目の世界記録を相次いで更新するなど、その手腕は世界の耳目を集める
馬俊仁監督は独自のトレーニング方法を確立して、厳しい指導を行っていたそうです。
男女交際禁止や短髪を強制するなど選手には厳しい規律を求め、従わなかった劉冬は追放された。厳しい規律は選手の脱走を招き、1994年12月には王軍霞、張林麗らが馬軍団を離脱し袂を分かった[8]。
こうして有力選手が流出しながらも、新しい選手は世界で活躍します。
馬俊仁監督は2004年に監督を引退し、その後ドックブリーダーを始めたそうです。
日本のメディアによる紹介
馬俊仁監督が行うそのトレーニングについては、日本陸連の浜田コーチが取材した本が出版されています。
また、1993年にNHKのクローズアップ現代でも、「ベールを脱ぐ馬軍団 ~中国女子陸上・強さの秘密~」として放送されています。
日本で冬虫夏草を使った栄養ドリンクのブームを起こしたのも馬俊仁監督でした。
陸上競技指導から得た知識をもとに作成した栄養ドリンクの調合レシピを中国企業に売却し1000万元(当時1億2000万円)を得るなど商機に明るかった[1]。日本では、冬虫夏草をもとにした馬軍団の疲労回復ドリンクとして大手商社が販売権を得て発売した[5]。
そしてドーピング疑惑
これだけ立て続けに世界記録が出たため、当時は世界中から常にドーピング疑惑の目を向けられることになります。
しかし、度重なるドーピング検査の結果は、長年にわたってシロでした。
この疑惑が、2016年に入ってから再燃します。
1995年に中国人ジャーナリストが「馬軍団」の組織的な薬物使用を告発した文書がインターネット上で公開されたと言います。
産経新聞に詳しい記事が出ています。
馬コーチは移動中の列車内でも、必要とあれば選手の臀部に注射を打っていた。多くの選手が肝臓の異常を訴えていたにも関わらず、ドーピングが発覚することを恐れ、選手が病院で診察を受けることを禁止していたという。
「コーチは私たちに、競技後のドーピング検査の前に、先にパンツの中で漏らせと告げた。一度放尿すると、しばらく経たないと出ない。その間に水を何本も飲めば、希釈されるというわけです」
http://www.sankei.com/premium/news/160212/prm1602120008-n1.html
国際陸連は文書が本物であるかどうかの調査を始めたそうですが、過去のドーピングはどうやって証明するのでしょうか。
そして、「馬軍団」の記録の数々は一体どうなってしまうのか。
「馬軍団」の選手たちはとても美しいフォームをしているように見えるのですが。
はたしてドーピングによって、どれほど競技に影響が出るのものなのでしょう。
漢方について:
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ドーピング告発について:
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